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血糖値が高い

血糖値が高いとどうなる?

そもそも血糖値とは?

血糖値が高いとどうなる?「血糖値」とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
血糖値は、常に一定の範囲内に保たれている必要があり、高すぎても低すぎても体に悪影響を及ぼします。
私たちの体は、インスリン、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンといった様々なホルモンを巧みに使い分け、血糖値を正常な範囲に保っています。
食事から摂取した糖質は、体内でブドウ糖に変換され、エネルギー源として利用されます。
余ったブドウ糖は、グリコーゲンという形で肝臓や筋肉に蓄えられます。

血糖値が高いことによる
悪影響

高血糖が続くと、様々な体の異常に繋がることが知られていますが、中でも最も注意すべきは、血管へのダメージです。
高血糖の状態が続くと、血液中の過剰なブドウ糖が血管を傷つけ、全身の血管に障害を引き起こします。
血管が傷つくと、その先にある臓器や組織へ栄養や酸素が十分に供給されなくなり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。
糖尿病の三大合併症として、糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症が知られています。
これらの合併症は、放置すると失明や神経障害、腎不全などの深刻な事態に繋がりかねないため、適切な血糖コントロールと早期発見・治療が非常に重要です。

血糖値はいくつまで大丈夫?
高血糖の基準(数値)

血糖値を評価するには、食前に測定した血糖値と、食後に測定した血糖値が大切です。

空腹時血糖値

「空腹時血糖値」とは、10時間以上の絶食後、つまり空腹状態で測定した血糖値のことです。
空腹時は、一日のうちで最も血糖値が低くなる時間帯であるため、糖尿病の診断や治療効果の判定に用いられます。
空腹時血糖値が110mg/dl以上の場合は糖尿病予備群、126mg/dl以上の場合は糖尿病と診断されます。

食後血糖値

「食後血糖値」とは、食事をしてから2時間後の血糖値のことです。
食後血糖値を測定することで、食事で摂取した糖質に対して、インスリンが適切に分泌され、血糖値を下げる働きができているかを評価することができます。
空腹時血糖値が正常範囲内であっても、食後血糖値が高い場合は、糖尿病の疑いがあるため注意が必要です。
食後血糖値が140mg/dl以上の場合は糖尿病予備群、200mg/dl以上の場合は糖尿病と診断されます。

高血糖値が引き起こす症状

高血糖値が引き起こす症状
  • のどの渇き、多飲
  • 頻尿、多尿
  • 体重減少
  • 脱水症状
  • 倦怠感
  • 空腹感
  • 集中力の低下

ただし、血糖値が200mg/dL程度までは、これらの症状が現れないことがほとんどです。
一般的に、血糖値が300~400mg/dLを超えると、のどの渇きや頻尿などの症状が顕著になります。
これらの症状は、他の病気でも見られることがあり、糖尿病特有の症状とは言えないため、発見や治療が遅れてしまうケースも少なくありません。
少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

血糖値が高い原因

空腹時血糖値が上昇する原因は多岐にわたり、その原因によって適切な対処法が異なります。
そのため、空腹時血糖値が高いと判明した場合は、自己判断で対処するのではなく、医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。

糖尿病

空腹時血糖値が高い原因として、まず疑われるのは糖尿病です。
糖尿病は、血糖値を下げる働きを持つインスリンが十分に分泌されなかったり、作用が低下したりすることで、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれず、血糖値が慢性的に高くなる病気です。
インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込み、エネルギー源として利用するのを助ける役割を担っています。
糖尿病は、放置すると、失明、心臓病、腎不全、神経障害など、様々な合併症を引き起こすリスクがあります。
最悪の場合、足の切断が必要になるケースもあるため、早期発見・治療が非常に重要です。

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遺伝

糖尿病は、遺伝的な影響も大きい病気です。
両親ともに糖尿病の場合、子供が糖尿病を発症する確率は高くなります。
これは、インスリンの分泌能力や感受性などが遺伝的に影響を受けるためと考えられています。
ただし、遺伝的要因は、あくまでも糖尿病の発症リスクを高める要因の一つに過ぎません。
日々の生活習慣に気を付けることで、遺伝的なリスクを軽減し、発症を予防することが可能です。
特に、両親が糖尿病を患っている場合は、より一層、食生活や運動習慣に気を配り、定期的な健康診断を受けるなど、健康管理に気を配ることが大切です。

肥満

肥満などの生活習慣病が原因で、代謝異常が起こり、空腹時血糖値が上昇することがあります。
肥満になると、脂肪細胞に脂肪が過剰に蓄積され、脂肪細胞から分泌される様々な物質が、インスリンの働きを悪くするインスリン抵抗性を引き起こします。
その結果、血糖値が上昇しやすくなります。
また、高脂血症や高尿酸血症も、インスリン抵抗性を高め、血糖値の上昇に関与していると考えられています。
これらの代謝異常は、動脈硬化のリスクも高めるため、早めに対処することが重要です。

生活習慣(運動不足)

運動不足や食生活の乱れなどの生活習慣の悪化も、空腹時血糖値の上昇に大きく関わっています。
運動不足や過食によって肥満になると、インスリンの働きが低下し、血糖値が上がりやすくなるインスリン抵抗性が起こりやすくなります。
また、過度な飲酒や甘いものの摂り過ぎも、血糖値を急上昇させる原因となります。
不規則な生活習慣を続けていると、高血糖のリスクが高まるだけでなく、様々な病気にかかりやすくなってしまうため、早めに見直し、改善することが大切です。
生活習慣の改善は、なかなか一人では難しい場合もあるため、専門家のサポートを受けながら進めていくのも良いでしょう。

ストレス

長期間にわたり過剰なストレスにさらされると、血糖値が常に高い状態が続く可能性があります。
これは、ストレスによりアドレナリンが継続的に分泌されるためと考えられています。

その他の病気

空腹時血糖値の上昇は、他の疾患が原因で起こることもあります。
例えば、多嚢胞性卵巣症候群は、女性特有の疾患で、卵巣内に小さな卵胞が多数残存することで、ホルモンバランスが乱れ、血糖値の上昇が見られる場合があります。
また、クッシング症候群では、副腎皮質ホルモンの一種であるコルチゾールが過剰に分泌されることで、糖尿病や高血圧症などの合併症を引き起こす可能性があり、空腹時血糖値の上昇もその一つです。
これらの疾患が疑われる場合は、早期に適切な治療を受けることが大切です。

血糖値が高いことで
考えられる病気

動脈硬化による病気

高血糖状態が続くと、血管が硬くもろくなる動脈硬化を引き起こし、血管に大きな負担をかけることになります。
動脈硬化は、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの深刻な疾患を引き起こすリスクを高めるだけでなく、足の血管に影響を与え、末梢動脈疾患(PAD)の原因にもなります。
末梢動脈疾患は、足の血管が動脈硬化によって細くなったり詰まったりすることで、しびれや痛みが生じ、重症化すると潰瘍や壊死に至る可能性のある病気です。

糖尿病の合併症

高血糖状態が慢性的に続く場合、糖尿病と診断され、放置すると合併症のリスクが高まります。
糖尿病の三大合併症として、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害が挙げられます。
糖尿病網膜症は、目の網膜の血管が損傷を受け、視力低下や最悪の場合失明に至ることもあります。
糖尿病腎症は、腎臓の機能が低下し、腎不全に進行することもあります。
重症化すると、人工透析が必要になる場合もあります。
糖尿病神経障害は、手足の末梢神経が障害され、しびれや麻痺が現れます。
また、傷に気づきにくくなり、壊疽に進行する可能性もあります。

その他の合併症

血糖値の上昇は、細菌の活動性を高め、歯周病の悪化や、肺炎、尿路感染症、皮膚感染症などを引き起こす要因となります。
さらに近年では、認知症との関連性も指摘されています。

血糖値が高い場合の治療法

糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。
さらに、必要に応じて薬物療法を併用していきます。

食事療法

食事療法患者様一人ひとりに合った血糖コントロールのための食事内容や食べ方についての指導を行っています。

食物繊維を含む食品

食物繊維、特に水溶性食物繊維は、食後の血糖値の上昇を抑え、血中コレステロールの値を下げる効果も期待できます。
便秘の改善にも効果的ですので、野菜、海藻、きのこなど、食物繊維を豊富に含む食品を積極的に食事に取り入れていきましょう。

たんぱく質を含む食品

高齢になると食が細くなりがちで、たんぱく質が不足しやすくなってしまいます。
たんぱく質は、筋肉の維持に欠かせない栄養素であると同時に、食後の血糖値の急上昇を抑え、血糖値を安定させる効果も期待できます。
肉や魚、卵、豆類などを積極的に摂るように心がけ、意識してたんぱく質を摂取するようにしましょう。

野菜から食べる

食事の際は、野菜類から食べるように心がけましょう。
野菜や豆類など、食物繊維を多く含む食品を最初に食べることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
また、最初に野菜を食べることで、その後に続く、肉類やご飯などの量を自然と減らす効果も期待できます。

早食いをしない

早食いすると、食べ過ぎに繋がってしまうだけでなく、血糖値を急激に上昇させてしまいます。
一口食べたら箸を置くなど、意識してゆっくりと食事を摂るように心がけましょう。

間食を控える

間食を頻繁に摂ると、血糖値が下がりにくくなり、常に高い状態が続きます。
この状態が続くと、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかり、糖尿病のリスクを高めることに繋がります。
また、血糖値が高い状態で次の食事を摂ると、さらに食後高血糖を引き起こす原因にもなります。
糖尿病を予防するためにも、間食はできるだけ控えるようにしましょう。

運動療法

ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、無理なく継続することができる運動です。
また、筋力トレーニングは基礎代謝を上げ、肥満の解消にも効果が期待できます。

薬物療法

糖尿病の薬物療法では、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬などが用いられます。
場合によっては、インスリン治療が必要になることもあります。
薬物療法を開始した後も、食事療法や運動療法を継続することが大切です。