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喘息・気管支喘息

喘息(気管支喘息)とは?

喘息(気管支喘息)とは?喘息は、空気の通り道である気道に炎症が起こり、狭くなることで、咳、痰、息苦しさ、喘鳴などの症状が出る病気です。
喘鳴とは、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴る症状で、喘息の特徴的な症状の一つです。
喘息は、医学的には「気管支喘息」と呼ばれ、気管支に起こる炎症が原因です。
気管支は、左右の肺に分岐したあと、20回以上も枝分かれを繰り返し、最終的に肺胞へとつながります。
喘息は、この気管支で慢性的な炎症が起こることで発症します。
気道に炎症が起こると、気道が腫れてむくんだり、痰などの分泌物が増えたりして、空気の通り道が狭くなります。
その結果、咳や痰、息苦しさなどの症状が現れ、さらに気道が狭くなると、喘鳴を伴うようになります。
また、炎症を起こした気道は、非常に敏感な状態になっているため、通常では問題ないわずかな刺激にも過剰に反応してしまいます。
喘息発作は、気管支が急に収縮することで起こり、激しい咳や息苦しさなどの症状が現れます。
発作は、夜間から早朝にかけて起こりやすく、安静にすることで自然に治まることもありますが、治療が必要となる場合もあります。

喘息(気管支喘息)の原因

喘息には、大きく分けて、アレルギーが関与する「アトピー型」と、アレルギーとは関係なく発症する「非アトピー型」の2種類があります。
小児喘息では、アトピー型が多くみられ、特定のアレルゲンが原因で発症することがほとんどです。
一方、成人喘息では、非アトピー型が比較的多くみられます。
非アトピー型の喘息は、その原因がさまざまであり、日常生活のさまざまな場面に、発作の引き金となる原因が潜んでいます。

アレルギー

アトピー型喘息は、特定のアレルゲンに反応して、喘息症状を引き起こします。
原因となるアレルゲンは人それぞれですが、代表的なものとしては、食物や、ハウスダスト、ダニなどの環境アレルゲンが挙げられます。

ストレス

ストレスは、自律神経のバランスを乱し、気管支喘息を引き起こす可能性があります。
気道は、自律神経の影響を受けやすく、ストレスを感じると収縮しやすくなるからです。
また、慢性的なストレスや睡眠不足は、免疫力を低下させ、感染症のリスクを高めます。
ストレスを解消し、十分な睡眠をとることは、気管支喘息の予防・改善においても重要です。

運動

激しい運動や、長時間にわたる運動は、気管支喘息の発作を誘発する可能性があります。
運動によって呼吸量が増え、気管支に負担がかかったり、自律神経のバランスが乱れたりする可能性があるためです。
喘息と診断された方は、運動前に十分なウォーミングアップを行い、ご自身のペースで運動するよう心がけましょう。
日頃から無理のない範囲で有酸素運動を行い、体力をつけておくことも大切です。

感染症

インフルエンザや風邪などのウイルス感染症に罹患すると、気道に強い炎症が起こり、喘息症状が悪化する可能性があります。
普段は喘息症状が出ていない方でも、感染症をきっかけに、激しい咳や呼吸困難などの症状が現れることがあります。
日頃から、手洗い、うがいを徹底するなど、感染症予防に努めましょう。
また、万が一、感染症を発症した場合は、自己判断で市販薬などを服用せず、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

環境因子

大気汚染物質であるPM2.5や黄砂は、気管支喘息の発作を誘発する可能性があります。
PM2.5や黄砂を吸い込むと、気道に炎症が起こりやすくなるため、大気汚染がひどい時には、外出を控えたり、マスクや眼鏡を着用したりするなどして、できるだけ吸い込まないように注意しましょう。
また、気圧や気温の変化も、喘息の症状を悪化させる要因となります。
特に、空気が乾燥する冬は、気道が過敏になりやすく、喘息が悪化しやすい傾向があります。
季節の変わり目や、気温の変化が激しい日などは、服装で体温調節をする、加湿器を使用するなどして、急激な温度変化に注意しましょう。

大人と子供の喘息は何が違う?

小児喘息と成人喘息では、いくつかの点で特徴が異なります。
「気道の炎症」という根本的なメカニズムは同じですが、肺や気管支の成長段階の違いや、喫煙などの生活習慣の影響によって、症状の出方や治りやすさが異なることがあります。

大人の喘息

成人喘息は、小児喘息に比べて、アレルギーが原因ではない「非アトピー型」が多いことが特徴です。
成人喘息には、子どもの頃に発症した喘息が大人になっても続いている場合や、一度治まっていた喘息が再発する場合もありますが、40歳を超えてから初めて発症するケースも少なくありません。
特に、過労やストレスなどで体の抵抗力が落ちている時に、風邪などの感染症にかかることで、喘息を発症することがあります。
女性の場合、月経前や月経中に、ホルモンバランスの変化によって喘息の症状が悪化することがあります。
非アトピー型の喘息は、原因が特定しにくく、治療が難しいことが多いです。

また、喫煙や過度の飲酒は、喘息の症状を悪化させる要因となります。成人では、子どもに比べて、タバコやお酒に接する機会が多くなるため、喘息が慢性化したり、重症化したりするリスクが高まります。
ご自身の生活習慣を見直し、喘息が悪化しないよう、注意することが大切です。

子供の喘息

小児喘息は、2~3歳までに全体の60~70%、6歳までに80%以上が発症するといわれています。
家族にアレルギー体質の方がいる場合、発症リスクが高くなり、アトピー性皮膚炎や、その他のアレルギー疾患を合併することも少なくありません。
小児喘息は、痰が多く出たり、喘鳴を起こしやすいといった特徴があります。
多くの場合、肺の成長とともに症状が落ち着き、寛解に至ります。
しかし、中には、大人になっても喘息の症状が続くケースや、一度治まっていた喘息が再発するケースもあります。

喘息(気管支喘息)の
症状チェック

喘息は、気道に慢性的な炎症が起こる病気です。繰り返し喘息発作を起こすことで、生活の質(QOL)が低下してしまいます。
喘息の原因はさまざまで、体質、ハウスダスト、タバコの煙、ストレス、ペットの毛など、さまざまなものが関与します。
以下のような症状は、喘息の可能性があります。

喘息(気管支喘息)の症状チェック
  • 発作的に咳や痰が出る
  • 朝方に咳の症状が強くなる
  • 呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音がする(喘鳴)
  • 冷たい空気を吸うと咳が出やすい
  • 咳止め薬が効かない
  • 風邪を引いた後、咳だけが長引く

咳喘息の場合

咳喘息は、「長引く咳」の原因として最も多い病気の一つです。
気管支に慢性的な炎症が起こることで、咳が長引くようになります。
多くは風邪をきっかけに発症し、風邪の症状が治まった後も、2~3週間以上咳が続く場合は、咳喘息の可能性があります。
咳喘息は、夜間から明け方にかけて、または日中に激しい咳が出るのが特徴です。
気温差やタバコの煙、会話なども、咳の誘因となります。咳がひどい場合は、胸の痛みを伴うこともあります。
成人では女性に多くみられ、再発を繰り返すことも少なくありません。
気管支喘息と異なり、喘鳴(呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという音がする)や呼吸困難はみられません。また、発熱や痰などの症状も、ほとんどの場合みられません。

気管支喘息の場合

喘息は、気道に慢性的な炎症が起こり、空気の流れが妨げられる病気です。
炎症によって気道が過敏になっているため、さまざまな刺激に反応して、発作的に咳や喘鳴、呼吸困難などの症状が現れます。
喘鳴や呼吸困難は、気道の筋肉が収縮し、空気の通り道が狭くなることで起こります。
これらの症状は、自然に治まることもあれば、治療によって改善することもあります。
しかし、治療を中断すると、再び症状が現れることがあります。
喘息は、症状が軽い場合でも、気道では慢性的な炎症が続いています。
そのため、年に数回しか発作が起きない場合でも、適切な治療を継続することが大切です。
適切な治療を行わずに放置すると、炎症と修復が繰り返されることで、気道の壁が厚くなり、空気の通りが悪くなります。また、気道が過敏な状態になり、ますます発作を起こしやすくもなってしまいます。
このような状態にならないよう、早期に適切な治療を開始することが重要です。

喘息(気管支喘息)の治療方法

喘息(気管支喘息)の治療方法喘息治療の目標は、患者様が健康な人と変わらない生活を送れるようにすることです。
喘息の症状が長く続くと、「症状が出るのが当たり前」と考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、現在の医学では、適切な治療を行えば、ほとんどの場合、症状が出ない状態を維持し、快適な日常生活を送ることが可能になっています。
普段と変わらない生活を送るために最も重要なのは、治療によって気道の炎症を抑え続けることです。

喘息の治療には、生活習慣の改善と薬物療法があります。
生活習慣の改善としては、規則正しい生活と十分な睡眠を心がけることが基本です。
その上で、禁煙、アレルゲンを避ける、疲労をためない、ストレスを解消する、肥満を解消するといったことに取り組むことが、喘息の予防・改善に効果的です。

薬物療法では、気道の炎症を抑える薬を使用します。
代表的な薬として、吸入ステロイド薬とロイコトリエン受容体拮抗薬があります。
吸入ステロイド薬は、吸入するタイプの薬なので、服用する薬や注射薬に比べて、少量で効果を発揮し、副作用も少ないというメリットがあります。
その他、気管支拡張薬や抗アレルギー薬を追加で処方することもあります。
また、薬物療法と並行して、患者様それぞれの症状や原因に合わせて、喘息の悪化因子となる刺激物やアレルゲンを特定し、できるだけ避けるようにすることも重要です。

喘息になったら
やってはいけないこと

喘息になった時には以下のことに注意をしましょう。

通院・内服を自己判断で中断すること

喘息発作がなく、症状が安定していると、自己判断で通院や服薬を中断してしまう方がいますが、これは大変危険です。
定期的な治療を怠ると、気道が過敏な状態になり、わずかな刺激でも喘息発作を起こしやすくなってしまいます。
そして、発作を繰り返すことで、気道の炎症がさらに悪化し、慢性的な気道狭窄の状態に陥ってしまいます。
こうなると、吸入薬を使用しても気道を十分に広げることが難しくなり、さらに喘息発作を起こしやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
喘息は、症状が落ち着いていても、気道の炎症が完全に治っているわけではありません。
喘息発作を予防し、健康な状態を維持するためにも、症状が安定している時こそ、医師の指示に従って、定期的な通院と服薬を継続することが大切です。

喫煙

喫煙は、喘息発作を誘発します。
また喘息の治療を行っていても、喫煙をしていれば効果が出にくくなるため禁煙をしましょう。

過度の飲酒

アルコールが喘息の症状を悪化させることがあります。
これは、アルコールを分解する過程で生成されるアセトアルデヒドという物質が、気管支を刺激するためです。
特に、日本人を含む東アジア人は、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人が多いため、アルコールの影響を受けやすい傾向があります。
喘息の症状がある方は、アルコールの摂取を控えるか、少量にとどめるようにしましょう。

喘息日記

喘息の症状や、その他の体調の変化、ピークフロー値、薬の使用状況などを毎日記録することで、いつ、どのような状況で、何が原因で喘息発作が起きたのかを把握することができます。
記録した情報は、医師が今後の治療方針を決定する際に役立ちますので、毎日、忘れずに記録しましょう。

食物アレルギーに注意

小児喘息では、食物アレルギーが原因で喘息発作を起こすケースが多くみられます。
食事中や食後に喘息の症状が悪化した場合は、食べたものを記録しておきましょう。
そして、医療機関を受診し、適切な検査を受けて、原因となるアレルゲンを特定することが大切です。