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高血圧

高血圧とは

高血圧とは血圧の数値が、収縮期血圧で140mmHg、拡張期血圧で90mmHgを超えると、高血圧と診断されます。
ただし、医療機関を受診し、高血圧症と診断されるには、血圧測定値が1回高いだけでは不十分です。
当院では、患者様自身に家庭で血圧を測定していただき、その記録を元に診断を行います。
健康診断などで血圧が高いと指摘された場合、2~4週間程度ご自宅での血圧測定を継続してください。
その記録をお持ちのうえ、当院にご相談ください。

高血圧症の基準

高血圧症とは、病院で測る血圧が、上が140mmHg、下が90mmHgを超える病気のことです。
ただし、ご自宅で血圧を測る場合は、上が135mmHg、下が85mmHg以上を高血圧症と判断します。
自宅では病院よりもリラックスして計測できるため、血圧が低めに出やすいからです。基準値が5mmHg低く設定されています。
健康な状態では、血管はしなやかで柔軟性があり、血圧は基準値以下に保たれます。
しかし、動脈硬化などで血行が悪くなると、心臓はより多くの血液を強い力で送り出そうとするため、血圧が上がります。

血圧が高いと
どんな症状がでる?
(症状と合併症)

血圧が高いとどんな症状がでる?(症状と合併症)高血圧は自覚症状がないまま進行することが一般的ですが、合併症のリスクが高まると、息切れや動悸、手足のむくみなどの症状が現れることがあります。
これらの症状は、高血圧による悪影響がすでに進行しているサインの可能性があります。
自覚症状がないからといって放置すると、動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などのリスクを高める可能性があります。
定期的な血圧測定や健康診断を受け、異常があれば適切な治療を受けることが重要です。

動脈硬化

血管壁は本来、弾力性に富んでいます。
しかし、高い血圧にさらされ続けると、動脈硬化が進行し、血管は硬く弾力性を失っていきます。
動脈硬化が進むと、血管はより強い圧力を受けるようになり、高血圧をさらに悪化させるという悪循環に陥ります。
動脈硬化は全身の血管に影響を及ぼし、脳出血や脳梗塞、心臓の肥大や心不全、狭心症や心筋梗塞、大動脈瘤や大動脈解離、腎硬化症や腎不全、眼底出血などのリスクを高めます。
高血圧と動脈硬化を予防・改善するには、定期的な健康診断、生活習慣の見直し、適切な治療が重要です。

目の症状

高血圧の影響は、目の網膜にある微細な血管にも及びます。
動脈硬化が進み、高血圧性網膜症や眼底出血などを発症する可能性があります。
放置すると、深刻な視力障害や失明に至る危険性もあるため注意が必要です。

脳の症状

動脈硬化が進行すると、脳の血管が狭窄したり、閉塞したり、さらには破裂したりすることがあります。
これが脳卒中です。
脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作の4つのタイプがあります。
一過性脳虚血発作は、脳梗塞に類似した症状が短時間現れて消失する病気ですが、放置すると脳梗塞に移行する危険性が高い状態です。

血管の症状

高血圧は、大動脈瘤や大動脈瘤破裂、大動脈解離など、命に関わる重篤な血管障害を引き起こす可能性があります。
また、足の血管が動脈硬化を起こすと、下肢閉塞性動脈硬化症を発症します。
足の冷えやしびれなどの初期症状がある場合は、放置せずに早めに当院を受診してください。

心臓の症状

血圧は心臓に大きな負担をかけ、心肥大を引き起こしやすく、放置すると心不全を発症します。
また、動脈硬化が進行すると、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が狭窄し、狭心症を発症したり、閉塞して心筋梗塞を引き起こしたりするリスクが高まります。

腎臓の症状

血液から老廃物をろ過する腎臓もまた、動脈硬化の影響を受けやすい臓器です。
動脈硬化により腎臓の機能が低下すると、腎硬化症や腎不全を発症するリスクがあります。
腎臓の病気は進行すると、人工透析が必要となる場合もあり、注意が必要です。

高血圧の原因と種類

高血圧は大きく分けて、「本態性高血圧症」と「二次性高血圧症」の2つのタイプに分けられます。
ほとんどの高血圧患者様に当てはまるのが、本態性高血圧症です。
特定の原因となる病気はなく、加齢や喫煙などの生活習慣が影響して発症すると考えられています。
一方、二次性高血圧症は、他の病気が原因で血圧が上昇するタイプです。
原因となる病気を治療することで、血圧が改善することもあります。

本態性高血圧症

本能性高血圧とは、目立った食症状がなく、常に血圧が高い状態が続きます。
生活習慣や遺伝的要因が関与していると言われています。

過度の飲酒・喫煙

「酒は百薬の長」ということわざがあるように、お酒を飲むとリラックスでき、血圧が下がるイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、習慣的に過剰に飲酒すると、血圧は上昇してしまいます。飲み過ぎは体にストレスを与えるため、高血圧には逆効果です。タバコに含まれるニコチンは、交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。
さらに、血液中の活性酸素を増加させ、動脈硬化を進行させるため、さらなる血圧の上昇を招きます。

過剰な塩分摂取

私たちの体には、体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあります。
味噌汁がしょっぱすぎたときに、水を足して味を薄めるように、体内の塩分濃度が高すぎると、薄めようとして水分量が増えます。
この水分量の増加は、血液量の増加を意味し、結果として血圧の上昇につながります。

ストレス

精神的なストレスを感じることで、心拍数の増加や血管の収縮を招き、血液量が増加し血圧が上昇します。

肥満

脂肪細胞からは、血圧を上昇させたり、動脈硬化を促進させたりする物質が分泌されます。
特に、内臓脂肪が過剰に蓄積したメタボリックシンドロームの方は注意が必要です。
また、血液量は体重に比例するため、肥満は血液量を増加させ、血圧の上昇を招きます。
その結果、心臓にも大きな負担をかけることになります。

二次性高血圧症

二次性高血圧症は、腎臓の病気や甲状腺の異常、睡眠時無呼吸症候群といった、何らかの病気が原因となって起こる高血圧です。
これらの原因となる病気を治療することで、血圧も正常値に戻る可能性があります。
症状は本態性高血圧症と似ていますが、急激な血圧上昇や、特徴的な症状を伴うこともあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に無呼吸状態から呼吸が再開される際に、「覚醒反応」が起こります。
寝ている時には副交感神経が優位になっていますが、睡眠が中断されることで交感神経が働き、血圧が上昇します。そのため睡眠時無呼吸症候群は、急激な血圧変動を繰り返します。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンは直接心臓を刺激するため心拍数が増加します。
甲状腺のホルモンの作用で、交感神経が活性化し、血圧が上昇します。

腎動脈狭窄

腎臓の細胞からは、レニンという酵素が分泌されています。レニンは、血圧の調整に重要な役割を果たしています。腎臓へ流れる血液量が減ると、レニンの分泌量が増加します。レニンは、血圧を上昇させるホルモン(アンジオテンシンⅠ、Ⅱ)を活性化させるため、結果として血圧が上昇します。
腎動脈が狭窄すると、腎臓への血液流入量が減少するため、高血圧の原因となるのです。

原発性アルドステロン症

腎臓の上方に位置する副腎という臓器から、アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることで高血圧になる病気です。
高血圧症全体の5~10%を占め、二次性高血圧症の中では代表的な病気です。

褐色細胞腫

褐色細胞腫は、カテコラミンというホルモンを過剰に分泌することで、血圧上昇を引き起こすことがあります。

高血圧の治療方法

高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法を行います。

生活習慣の改善

塩分の制限

塩分の制限近年はインスタントラーメンやハンバーガーなどのファーストフードを食べる機会が増え、再び塩分摂取量が増加傾向にあります。
塩分摂取量の目標は、1日7gです。
食品に含まれる塩分量が約3gなので、調味料として使える塩や醤油などの量は、1日4g程度に抑えましょう。塩分制限は、カロリー制限にもつながるため、肥満の解消にも効果が期待できます。

運動療法

運動習慣のある人は、そうでない人に比べて血圧が低い傾向にあり、運動療法には血圧を下げる効果があることが知られています。
運動の種類としては、筋肉トレーニングのような静的な運動ではなく、ウォーキングやランニング、水泳などの動的な運動がおすすめです。
また、激しい運動は、静的な運動と同様に、急激な血圧上昇を招き、事故のリスクを高める可能性があるため、避けるようにしましょう。
運動は、軽めに、そして継続することが大切です。
できれば毎日続けるように心がけましょう。

肥満の解消

標準体重は、「22×身長(m)の2乗」で計算します。
標準体重を20%以上オーバーしている状態を肥満といいますが、標準体重以下だからといって安心はできません。
近年、体重が標準範囲内でも、内臓脂肪が多い場合は、健康リスクが高いことがわかってきました。
内臓脂肪が気になる方は、食事や運動療法など、生活習慣の見直しが必要です。
また、体重と身長から計算するBMI(Body Mass Index)も、肥満度を表す指標としてよく用いられます。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)の2乗
BMIは22が理想とされています。
BMIが25を超えると、生活習慣病のリスクが2倍以上になるといわれています。
肥満の方は、約4kgの減量で血圧の薬を1種類減らせるなどの効果が期待できます。

ストレス解消

ストレスというと、多くの方が精神的なものをイメージするかもしれません。
精神的なストレスと血圧の関係は、まだはっきりと解明されていません。
しかし、動脈硬化との関連性が指摘されていることから、過度なストレスは避けるように心がけるべきでしょう。
また、寒さは血圧を上昇させる要因の一つであり、特に高血圧の患者様は、冬の急激な温度変化に注意が必要です。
トイレや浴室など、室温が急変する場所では、十分に暖房器具などを活用しましょう。

禁煙

タバコと血圧の関係は、直接的には証明されていません。
しかし、タバコが動脈硬化の最大の危険因子であることは間違いありません。
高血圧の予防・改善は、すなわち動脈硬化の予防につながります。

アルコールの節制

1回の飲酒量は、短期的には血圧を下げる効果がありますが、過剰に摂取すると、逆に血圧を上昇させ、血管に負担をかけることになります。
また、過度な飲酒は、食事療法の妨げになることが多く、体重コントロールを難しくするため、結果として血圧を上昇させてしまう可能性があります。
適切なアルコール摂取量は、日本酒なら1合、ビールなら500cc以下とされています。

薬物療法

薬物療法高血圧の薬物療法には、尿の量を増やして血液量を減らす利尿剤、血管を広げて血圧を下げる血管拡張薬、心臓への負担を軽減し血管の緊張を和らげることで血圧を下げる神経遮断薬、血圧を上げるホルモンの働きを抑え、血管を拡張したり利尿作用を促したりするレニン・アンギオテンシン系阻害薬などがあります。
これらの薬は、それぞれ特徴や副作用が異なります。
そのため、当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて、これらの薬を単独で、あるいは組み合わせて処方しています。薬の効果や副作用、服用方法など、詳しくは医師にご相談ください。

高血圧の人は
何を食べたらいい?

カリウム(野菜・果物)・
たんぱく質(タマゴなど)

カリウム(野菜・果物)・たんぱく質(タマゴなど)高血圧の予防には、さまざまなミネラルをバランスよく摂取することが大切です。
特に、カリウムは体内のナトリウムを排出する働きがあるため、血圧を下げる効果が期待できます。野菜や果物、イモ類などに多く含まれています。
牛乳は、カリウムとマグネシウムを豊富に含むため、毎日コップ1~1.5杯程度飲むことをおすすめします。
また、たんぱく質が不足すると、高血圧が悪化する可能性があります。肉類だけでなく、魚や大豆製品などからも、バランス良くたんぱく質を摂取するように心がけましょう。
1日のたんぱく質摂取量の目安は、成人男性で70g、成人女性で60gです。

食物繊維を多く含むもの

肝臓は、食物から摂取した脂肪を吸収するために、コレステロールを使って胆汁酸という物質を作ります。
胆汁酸は、胆汁に混ざって十二指腸に送られます。
食物繊維は、胆汁酸を吸着し、体外への排出を促します。
その結果、LDLコレステロール値を下げる効果が期待できます。
食物繊維は、野菜、海藻、きのこ、大豆製品などに多く含まれています。
これらの食品を積極的に食べましょう。
また、ビタミンC、E、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンは、脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する効果があります。
これらのビタミンも積極的に摂取しましょう。

塩分の摂取量を抑える

食品に含まれる食塩は、塩化ナトリウムが主成分です。
ナトリウムを過剰に摂取すると、一時的に体内に水分が蓄えられます。その結果、心臓から送り出される血液量が増加し、血圧が上昇します。
また、ナトリウムには血管を収縮させる働きもあるため、末梢血管の抵抗値が上昇し、さらに血圧を上昇させる要因となります。
高血圧と診断された場合、1日の食塩摂取量の目標値は6g未満です。
味噌汁やスープなどの汁物には、1杯あたり平均2g程度の塩分が含まれています。
1日1杯程度を目安にしましょう。
麺類は、粘り気を出すために食塩が多く含まれています。うどんやそばで6~8g、ラーメンでは7~8gもの塩分が含まれているため、注意が必要です。

コレステロールを控えめに

コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があります。
LDLコレステロールは細胞に脂質を運び、HDLコレステロールは血中から余分な脂質を回収する役割を担っています。
どちらも人間の生命活動を維持するために欠かせない栄養素であり、両者のバランスが重要です。
従来は、コレステロール値が高いことが問題視されていましたが、近年では、LDLコレステロールを増やす食品やHDLコレステロールを減らす食生活を避け、両者のバランスを保つことが重要であるという考え方が主流になっています。